ルイ・ヴィトン展覧会「ビジョナリー・ジャーニー」の全貌

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旅とトランクとルイヴィトン

展覧会の背景と構成

ルイ・ヴィトン創業170周年と、2025年大阪・関西万博を記念して大阪中之島美術館で開催された「ビジョナリー・ジャーニー」展。メゾンの「旅の真髄(こころ)」をテーマにした没入型展示となっています。 キュレーションはフロランス・ミュラー、空間デザインには国際的建築設計集団OMAのパートナーでもある建築家の重松象平氏による斬新な演出が施されています。

まず、一番に目を魅かれるのが、アトリウムに設置された内部照明付きの和紙トランクです。

この和紙のトランクが幻想的な入口を演出し、展覧会への期待を高めます。

展示は12のテーマ空間で構成。中でも「アニエール(原点)」では、創業者ルイ・ヴィトンが1854年にパリでトランク工房を開設し、アニエールで本格的な製作を開始した歴史が詳細に紹介されます。平らな蓋のトランクや開錠困難な錠前など革新的プロダクトが語られ、ブランドのDNAを体感できます。

すべてはトランクから始まった - 原点の象徴 -

展覧会でまず驚かされるのが、5階のエントランスを飾っている多数のトランクから構成された巨大なドーム型の半球体「Trunk Hemisphere」が来場者を迎えます。まさにルイ・ヴィトンの旅の象徴ともいえる壮観なインスタレーションです。

「さすが、ルイ・ヴィトン様!すげーーー!!!」

また、「原点」セクションでは、馬車を囲むように設置されたトランク群が展示され、中には折りたたみ式の机やオーディオ機器、さらにはベッドの機能を兼ね備えた、魔法のようなトランクもあり、旅と暮らしを結びつける創意工夫が象徴されています。

旅の精神、多層的なテーマ展示

展示全体には「旅」が貫かれており、「移動の道具」であるトランクを起点に、文化、時間、記憶、人との結びつきといった多元的なモチーフとして展開されています。

「ルイ・ヴィトンと日本」では、1867年のパリ万国博でのジャポニスムの影響や、初の日本人顧客である鮫島尚信のエピソードが紹介され、モノグラムの背景にある美意識にも光が当たります。

他にも「素材」セクションでは、木材・金属・革・キャンバスといったトランクの構造に欠かせない要素がアピールされ、匠の技と創造性を体感できる空間になってます。

繰り返し行われる耐久検査。

こうして一定の基準をクリアした製品だけが、商品として誕生するんですね。

観る者との対話を重視した演出

本展は単なる回顧展ではなく、「対話」をテーマに据えています。オーディオガイドには市川團十郎白猿さん、広瀬すずさん、平野紫耀さんなど、日本を代表する文化人がナビゲーターとして登場し、鑑賞体験に物語性を加えています。空間演出はステンドグラス、浮遊する畳、巨大な和紙トランクなど、日本の美学を現代芸術に融合させたデザインが特徴です。

圧巻!!モノグラムキャンバスの展示空間!

そして、今回の展示会で最も不思議な空間に誘われたモノグラムキャンバスの展示空間!

さらに、各デザイナーやコラボブランドの展示スペースへと続きます。

Louis Vuitton × Supreme(シュプリーム)

モノグラムとダミエ、日本との結びつき

ルイ・ヴィトンの代表的な柄のひとつ「ダミエ」は、1888年に誕生しました。名前はフランス語で「チェッカーボード(市松模様)」を意味し、日本の伝統文様である市松模様から着想を得たとされています。

当時は旅行用トランクが盗難や模倣の対象となりやすく、識別性と意匠性を兼ね備えた柄として導入されました。モノグラムよりも早く生まれたこのデザインは、幾何学的で普遍的な美しさを持ち、現在もバッグや財布など幅広いコレクションに展開。日本文化との結びつきと、ルイ・ヴィトンの革新性を象徴する存在となっています。

もう1つの有名なルイヴィトンの柄であるモノグラムは1896年 に、創業者ルイ・ヴィトンの死後、その息子ジョルジュ・ヴィトンによって考案されました。
実はダミエはモノグラムよりも早く誕生していたんですね。

ダミエは、市松模様をベースにしたシンプルで幾何学的な柄でしたが、その後さらに偽造防止やブランドの象徴性を強めるために、ジョルジュが「モノグラム・キャンバス」を開発しました。
モノグラムは「LV」のイニシャルと花・星を組み合わせた装飾的な意匠で、アール・ヌーヴォーの時代感覚と、日本美術からの影響が色濃く反映されています。

なんで、日本人にルイヴィトンがこれほど支持されるのか、そのルーツが理解できた気がします。

まとめ

この展覧会は、ルイ・ヴィトンがどのように「トランクという発明」から始まり、170年以上の歴史を通じて旅とクリエイションを重ねてきたかを、多彩なアーカイブと没入的な演出で辿る壮大な「旅」のような体験です。

トランクは単なるバッグではなく、文化や技術、人と人の結びつきを運ぶ象徴。それを現代的視点と日本文化の視座から再解釈し、美術館という場で新たな形で語り直す試みとなっています。

【ルイ・ヴィトンのビジョナリー・ジャーニー展】

開催中(2025年9月17日迄)

@大阪中之島美術館

事前予約可。
当日券でもチケット購入時の待ち時間10〜15分程度 (平日13:00頃)
館内のため、関西万博のように暑い中並ぶ必要はありません。

大人2,000円、学生1,500円
高校生以下無料(要事前申込)
10:00-17:00まで。
金土祝前日は21:00まで。
(祝日を除く月曜日は休館日)

【事前予約・公式チケット販売サイト】

大阪中之島美術館 チケットサイト
大阪中之島美術館のチケットサイトです。

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